痒みや皮膚のただれをともなうアトピー性皮膚炎は、つらい症状でありできるだけはやく改善してあげたいものです。
アトピー性皮膚炎が引き起こされる原因は、アレルゲンが体内に侵入することにありますが、これを完全に防ぐのは難しいものです。
対策としては、できるだけ清掃をこまめに行なったり、シャンプーなどをしてアレルゲンを除去したり、ということが挙げられます。
しかし、一度症状が発生してしまうと、痒みから患部を気にするようになり、舐めたり引っ掻いたりという行動が起きてしまいます。
これにより症状が悪化してしまうこともありますから、お薬によって症状を抑制していくことも大切です。
犬と猫のアトピー性皮膚炎のお薬として代表的なものが、アトピカです。
アトピカは、国際的な製薬会社ノバルティスが開発した薬であり、免疫抑制の作用を持っています。
アレルゲンが体内に侵入すると、それを攻撃するために免疫機能が活発化します。
この免疫機能に異常が生じ、正常な細胞を攻撃してしまうことで、アレルギーが引き起こされるといわれています。
そうしたことから、免疫を抑制する薬を服用することで、アトピー性皮膚炎の症状を軽減することができます。
大切なペットが苦しむ様子を見るのは、飼い主にとってとてもつらいものです。
ワンちゃん、あるいはネコちゃんにアトピー性皮膚炎の症状が出ているのなら、獣医に相談した後、こうした薬を利用するのもよいでしょう。
しかし、どんなに良い薬であっても、副作用がありますから、その内容をあらかじめ知っておくことが大切です。
アトピカの副作用としてあげられるのは、嘔吐や食欲不振、下痢など消化器系関連のほか、パピローマ・腎障害・多毛症・乳頭腫肝障害などです。
また、免疫を抑制する薬ですから、菌に感染しやすくなる、という副作用もあります。
ただ、全体的な副作用の度合いは、ステロイド系の薬よりも軽いとされています。
また、ステロイド系の薬の長期服用では、中断によって再発することが多いといわれていますが、アトピカはその確率が低いというメリットもあります。
こうした免疫に働きかける薬は、できれば長期使用を避けたいものであり、中断しても再発しにくいというのは、大きな利点といえるでしょう。
副作用を重篤なものにしないためにも、薬の利用は用法と用量をしっかりと守っていくことが大切です。
アトピカは通常、使用を開始してから4週間ほどで症状が改善するとされています。
4週間服用させても、効果が感じられない場合は、一度中断し再度医師に相談してみましょう。
生後6ヶ月未満であったり、肝機能障害がある場合には、使用できないなど様々な注意事項があります。
また、妊娠中であったり、抗菌剤を使用している期間も使用しないほうが良いとされています。
その他にもペットが糖尿病を患っていれば、服用させることは出来ません。
さらに、免疫に作用する薬であるため、その他の薬との併用にも注意が必要です。
また、アトピー性皮膚炎とよく似た症状の別の皮膚疾患も存在しています。
判断を誤りアトピー性皮膚炎を患っていないペットに服用させてしまうと、症状を悪化させる可能性もありますからご注意ください。
他の病気との兼ね合いや、個体差など気をつけるべき点が複数ありますから、必ず、医師の診断を受けてから、アトピカの服用を開始しましょう。
個人輸入代行などで購入できる薬ですが、使用についてはやはりきちんとした診断を受ける必要があります。
使用中に、何らかの異常が感じられた際には、一旦服用を停止して、できるだけ早くかかりつけの病院へ連れて行きましょう。
上手に使えば効果のある薬ですが、経過をしっかりと見定めていくことが大切です。