人間と同じく、犬や猫もとくに病気でなくとも下痢をすることがあります。
下痢とは、便に含まれる水分量が増加した状態を意味します。
下痢便には、軟らかい便もあれば水様便もあります。
急性の下痢や進行の早い下痢は急に悪化し、とくに子犬や子猫、老齢の犬や猫だと、1日から数日で死亡することもあり得ます。
また、牛乳を飲むと下痢をする犬や猫もいます。この理由は、牛乳の中の乳糖成分を消化する酵素が不足しているからです。
そのほか、食物アレルギーや食べすぎなどの場合にも、下痢をすることがあります。
さらに多数の寄生虫がいたり、慢性の膵臓病にかかっている、精神的なストレスなども下痢の原因となります。
こういった軽度の下痢症状は、1 日程絶食させるか、おかゆなどの消化のよい食べものと下痢止め薬を与えれば、翌日には治ることもあります。
回復したら下痢の原因を取り除くようにしましょう。
犬、猫は多くの病気で下痢を起こします
一般的には、寄生虫やウイルス、細菌などの感染により下痢を起こすことが多く、胃、大腸、小腸に異常があっても下痢を起こします。
また、犬パルボウイルス感染症、猫汎白血球減少症といった、犬、猫にのみ起こる伝染性の病気もあります。
状況によっては同時に発熱することもあり、犬の場合だと体温を計って39・5度前後より高いようでしたら感染症の可能性があります。
かぜのような感染症であっても下痢は2日以上続き、水様便やタール便が出ることがあります。
このような下痢と同時に嘔吐も見られるようなケースでは、深刻な感染症にかかっていることが考えられます。
感染症は緊急の治療が必要です。
食中毒やパルボウイルス感染症では、腸全体が酷い炎症を起こします。
レプトスピラ症やジステンパーでも、激しい下痢と嘔吐を引き起こすことがあるのです。
下痢が何日も続いたり、下痢と嘔吐を起こしたケースだと、何もせず放っておくと生命に関わります。
下痢を侮らず、早い時期での診断、治療をしましょう。
一般的に小腸性下痢では1回の排便量は多くなりますが、大腸性下痢では逆に少ないか正常のことがよくあります。
大腸性下痢だと、水様下痢というより、普段は軟便で、ときに下痢便という状態が長期間続きます。
排便量はいつもどおりか少なくなり、体重が少しずつ減少するのが特徴です。
急性の小腸性下痢は、食事内容の変更や拾い食い、引っ越し、移動などのような環境の変化によって起こります。
一般的に、嘔吐などの他の症状がない場合は、一過性のことが多いようです。
嘔吐や衰弱などの全身症状を伴うケースでは、細菌感染、ウイルス感染の可能性があります。
感染症では、他に下血や発熱、脱水、腹痛などの症状が伴います。重篤な症状を示すことが多く、早急な治療が必要です。
慢性小腸性下痢は、特殊な病態を示すことがあり、原因もアレルギー性、腫瘍性、食餌性、感染症、機能性と様々です。
これらの症状がみられる場合には、獣医師による確定診断と治療が必要です。
消化管には直接問題がないのに慢性の下痢を起こす病気には、膵外分泌不全により消化酵素の分泌がないもの、胆汁の分泌障害による肝・胆道系疾患、甲状腺機能亢進症などがあります。
便に一部血が混じっている場合は、好酸球性腸炎、リンパプラズマ細胞性腸炎、肉芽腫性腸炎、リンパ腫、小腸癌が疑われます。便全体が赤い場合は、出血性腸炎などが疑われます。
ケアのポイント
原因が明らかである
下痢の原因が食事内容の変更や、環境の変化が影響していると特定できるときには、その原因を取り除くか和らげてください。
他の症状を伴う
嘔吐やそれによる脱水などの症状が見られる時は、急速に衰弱することがありますので注意が必要です。
早期に受診する
軟便や下痢が続く、便に虫がいた、繰り返し激しい下痢が続く、血便、嘔吐がみられる、元気が無いといった症状が見られるのなら、獣医師に診てもらうことが大切です。